7. 安心する匂い

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「『避妊はしてセックスするってことなのかな?』とか余計なお世話ですし、今年の初めに事故があった企業にしてはゆるすぎる。人事部長がこれでいいんですか? 坂元滋さん」  横峯はそこで一息つくと、うーんと唸った。 「何か、叩いたら余罪がたくさん出てきそうな気がするんですが。……会社に連絡してきちんと調べてもらわないと……」  さり気なく、横峯は高大を隠すように背中側に移動させて、ドアから高大を出すと、自分も出て、そのままドアを閉めた。  ぐいと高大の腕を引っぱり、ずんずん進んで、無言のまま横峯の家に高大を連れて帰宅する。話しかけられないようなオーラを感じて、高大は横峯のぎゅっと握った手だけを見て歩いた。 「あの、ごめん……助けに来てくれて、ありがとう」  小さな声で、高大は言う。  無理に笑ってみたものの、驚きと怖さがもう一度溢れてきて、高大の目からは自然と涙がこぼれてしまう。 「あれ? あれ、おかしいな。何だろう」  泣こうと思ったわけじゃないのに涙が出ることに、高大は動揺して肩口でぐしぐしと目を擦る。
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