9. リセットできないのは

2/6

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
 そんな時、横峯はTシャツを畳む高大の後ろでソファーに座ってニコニコ見ている。かと思えば高大に後ろからハグしてきたり、首筋にチュッとさり気なくキスしてきたりする。  大学に一緒に行く時も手を絡めてきたり、あまつさえ腰に手を回してきたりすることもあって、高大はソワソワしてしまう。  ソワソワしてしまうのは周りの目が気になるから、ではない。  恋人っぽい振る舞いに慣れないのに、次のヒートが来たら番う約束をしてしまったことに、本当に大丈夫なのか不安なのだ。  自分から「噛んで」とお願いしたのに、次のヒートがくるのが不安で、洗濯をしていると落ち着く自分に、高大は自己分析する。 (横峯くんの匂いをかぐのが怖くて、匂いをリセットしたくて洗濯してるのかも……)  ところが、高大は全然リセットできていなかった。  捗っていると思っていた洗濯だが、高大が横峯の部屋に行った時に、クローゼットの隙間からシャツの袖口が挟まって出ていたので生地が傷むと思い、しっかり中に入れてあげようと何となくクローゼットを開けてしまった時に、全く捗っていなかったことが発覚した。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加