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クローゼットの中は横峯の匂いが充満し、洗濯物が積まれていたのだった。
「えっ?」
閉め切ったクローゼットからブワァッとあふれ出した匂いにあてられて、高大はクラクラする。
(……やっぱり俺、横峯くんと番いたいよ……)
濃い匂いに、高大は酩酊状態になる。トイレから戻った横峯が慌ててクローゼットを閉めると、高大はとろんとした瞳で横峯を見つめた。
「ごめん、あてられちゃってるよね」
横峯は困ったように言うと、高大を立たせた。
「ごめんね。今日はもう帰った方がいいよ。気をつけてね」
高大は、目の前で横峯の部屋の扉が閉まったことでハッとして驚いて目を見開いた。
「…………え?」
横峯がこんな風に高大を帰したのは初めてだった。
クローゼットを開けてしまったのがまずかったのだろうか。そう思い、高大は慌てて「ごめん」とメッセージを送る。
すぐに既読はついたが、その日横峯からのメッセージはこなかった。
高大は明け方まで、ウトウトしながらスマホを何度も確認した。
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