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高大が言うと、横峯はちょっと難しい顔をした。
「う、いいけど……」
ちょっとだけ嫌そうな声音が混ざり、高大はあれと首を傾げた。
「今日の高大いつもより可愛いから他のやつに見せたくない……」
横峯のつぶやきに高大は耳を疑う。思わず重低音で「は?」と返して高大は横峯を眉を寄せて見つめた。
「それはさすがに『恋は盲目』過ぎてひどい」
高大がきっぱりと言うので、自分の可愛さに自覚のない恋人を持つと心配事が絶えない、と横峯は息をついた。
「今日は山菜おろしそばちゃんと味わうんだから」
ふわっと笑って言う高大を抱きしめて離したくない気持ちを横峯はぐっとこらえた。
そうして、何度も横峯が「新婚さんみたいだね」を繰り返しているうちに、高大は横峯のスキンシップや発言に慣れて来て、そのうち横峯は「熟年夫婦にも負けてないよね」と言うようになってきた。
言っている意味が分からなくて、高大は「そうかな?」としか返せていない。
次のヒートまでまもなくという時期を迎えた。
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