11. それから

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 ちょっと前になぜか高大のところに例の企業の弁護士から連絡が来て賠償金がどうこう言われ、オメガに対するハラスメントをしていた人事部の人間が解雇になったことはニュースにもなった。  高大は、賠償金の額に震え上がり固辞したが、横峯に「そうやって受け取らないでいるといつまでもやり取りしなきゃいけなくなるから、もらった後は何も言わない蒸し返さないって書面作って終わりにした方がいいよ」と言われ、なるほどなと手続きした。  ヒートの前にわずらわしいことが終わって、高大は少しホッとして、体調を崩した。  心配した横峯が、自分の部屋で看病したがったので、高大は横峯の部屋で寝ている。  今日は卒論について外せない授業があって、横峯は大学に行っているのだが、さびしくないようにとなぜかベッドの周りを洗濯物に取り囲まれている。  体調が良くなったら洗濯をしようと心に決めて、高大は目をつぶる。  目をつぶるとフワァッと香ってくる横峯の匂いに、高大は抱きしめられているように感じて、落ち着くようなドキドキするような気持ちになる。
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