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「見かけるたびに、多分そうだよなぁって思ってたんだ」
高大は気まずくならない程度にさり気なく手を避けて、出てきた山菜おろしそばのトレイを手に持った。
「俺、あんまり目立つ方じゃないのによくわかったね。ていうか、よく同じ学校だったって覚えてたね……」
横峯は目立っていたから高大も覚えていたが、横峯の方はよく高大を覚えていたなと高大は感心したが、横峯はサラッと「俺は学年全員覚えてるよ。顔と名前すぐ一致するんだよな」と言ったので、高大はちょっと引いた。
「席ここでいい?」
すっと席に座った横峯に、高大は困惑した。
(どこに座るのが正解?? 向かいか? 向かいなのか??)
恐る恐る向かい側に腰かけようと動いた高大に、すっと自分の隣の椅子を引いて横峯が座るよううながす。
(えっ?)
流石に隣は近すぎるのではと思いながらも、うながされて隣の席に座ってしまい、高大は変な汗が出るのを感じた。
山菜おろしそばの味なんか、もう何も感じないまま、高大は黙々とそばをすすった。
「ねえ、鈴木ってもしかしてオメガ?」
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