13. 俺の番

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 逃すものかと声をかけたら、いい匂いがしてかわいくて、横峯はとにかくその場限りで終わらせたくなくて「付き合って」と言ってしまった。  まさか、それに対して嬉しそうに「付き合ってくれるの」などと言われるとは思っておらず、横峯は本当にその時、すがりついてでも土下座してでも離すまいと思っていた。  この執着が、自分がアルファで高大がオメガだからなのかどうかは知らない。  ただ、高大の笑顔をたくさん見たい。  横峯はそう思っていただけのはずだった。  どんどん欲が深くなり、番にして独り占めにしたい、巣作りして欲しいと服を洗濯しないで溜めたり、柄になく浮かれた。  そうして、それが就職活動のためだったとしても、番候補に自分を考えてくれたことが嬉しくて、横峯は緩む顔を抑えきれなかった。何ならすぐにでも番にしたかった。番にするしないは置いておいても、ヒートをひとりで過ごさせたくない。大事に大事にしたい。  そのために、横峯は定期的に行く病院で少し強い抑制剤を「恋人ができたから」と出してもらった。
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