15. 縁とは不思議なもので

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 絶賛した高大のそばでクスリと笑う人がいて、高大は口をつぐんだ。 「すみません。おかわいらしい反応でしたので……」  その人はスラリと背が高く骨太そうな体格で、纏うオーラが芸能人かなと思うくらいだった。  一瞬、横峯がピリッとした空気になり、高大を引き寄せた。 「そんなに警戒しなくても……」  苦笑いをしてその人は名刺を差し出してきた。 「パティスリー……ジャドレララバント??」  名刺は横書きで、横文字が並んでいる。   Patisserie j'adore la lavande   Patissier 佐野享  そう書いてある名刺を見ながら首をかしげている高大に、笑いながらその人が自己紹介した。 「Patisserie(パティスリー)j'adore(ジャドーレ) la lavande(ラバンド)です。佐野(さの)(とおる)と申します」 「へぇー……あ、もしかしてこのケーキ!!」  佐野は肯定するようににっこり笑った。 「全部おいしくて、ほんとうにすごいなって話してて」 「ありがとうございます」  ちらっと佐野が横峯にも視線をやり、高大は慌てて自己紹介する。
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