15. 縁とは不思議なもので

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 高大は感心したようにプチシューのタワーを眺める。フルーツも飾りつけられていて、見た目にもとても華やかなのに、なぜか派手なだけではなく慎ましくも見える。  そのクロカンブッシュに糸のように飴が絡んでいて、鳥の巣のようになっている。 「オメガの巣作りのイメージです」  笑みを深くして佐野は言う。それはそれは幸せそうに。いつの間にか横峯の顔も緩んでいる。 「私にも番がいまして。巣作りしてもらえた嬉しさをウエディングケーキに表したいと思って作りました」  そう言われてもう一度クロカンブッシュを見ると、飴にはキラキラとアラザンなどがくっついていて、フルーツの他にナッツなども散らばっている。 「アレルギーの方たちに対応する意味でも、飾っているところからの取り分け以外にもプチシューを用意しています」  視線に気づいたのか佐野が説明してくれる。 「素敵ですね」  心からそう思って、高大は言った。  佐野の笑みが深くなる。 「私も番も、あなた方がここで結婚式をやってくださったら大歓迎します」
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