16. 内定

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「お似合いです。おめでとうございます」  高大が言うと、ヒュッと将吾が息を吸い、白い肌を真っ赤にした。 「ええっ、お前話したの?」 「話さなくてもわかるだろ」  佐野は将吾の問いにしれっと答えると、「本当に大丈夫だから電話していいですよ」と更に言う。  横峯も、ようやく気づいたのか、二人を見比べて、目を見開いている。 「じゃあ、佐野さんの番って……」  佐野は将吾の肩を組んで、サムズアップした。 「ちょっ……お客さんにまでそんなこと話すの?」  将吾が慌てると、佐野はニコニコ笑いながら、将吾に高大を示した。 「この子、ここに就職したいって! オメガの子にそんな風に思ってもらえるのって、将吾の夢叶ったじゃん」  高大と横峯は顔を見合わせて、それから笑ってしまう。 「結婚式も就職したら社割ききますよ!」  変な売り込み方をしてくる佐野に将吾が「やめて」と言い、高大は吹き出してしまう。  風に名刺があおられて、持っていかれそうになるので手に力を込めながら、高大は心の底から楽しいなと思った。  オメガだとわかってから、人前が怖くなった。  あまり目立たず、色んなものを誤魔化してきた。
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