74人が本棚に入れています
本棚に追加
「お似合いです。おめでとうございます」
高大が言うと、ヒュッと将吾が息を吸い、白い肌を真っ赤にした。
「ええっ、お前話したの?」
「話さなくてもわかるだろ」
佐野は将吾の問いにしれっと答えると、「本当に大丈夫だから電話していいですよ」と更に言う。
横峯も、ようやく気づいたのか、二人を見比べて、目を見開いている。
「じゃあ、佐野さんの番って……」
佐野は将吾の肩を組んで、サムズアップした。
「ちょっ……お客さんにまでそんなこと話すの?」
将吾が慌てると、佐野はニコニコ笑いながら、将吾に高大を示した。
「この子、ここに就職したいって! オメガの子にそんな風に思ってもらえるのって、将吾の夢叶ったじゃん」
高大と横峯は顔を見合わせて、それから笑ってしまう。
「結婚式も就職したら社割ききますよ!」
変な売り込み方をしてくる佐野に将吾が「やめて」と言い、高大は吹き出してしまう。
風に名刺があおられて、持っていかれそうになるので手に力を込めながら、高大は心の底から楽しいなと思った。
オメガだとわかってから、人前が怖くなった。
あまり目立たず、色んなものを誤魔化してきた。
最初のコメントを投稿しよう!