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このままじゃだめだと思ってはいたけれど、流されるまま大学まで過ごした。
就職するにあたって、希望してた就職先の面接で、まさかのオメガハラスメントを受けて、やりたいことを見失いかけていた。
「こういう素敵なところで働けたら、最高だろうなって思います。大輔は俺が就活でハラスメントを受けたから心配なんだと思うけど、もっと色んな人と関わっていきたいです」
高大が言うと、将吾はちょっぴり目を見開き、「採用!」と言う。
「えっ?」
「いいじゃん。今大学生? 卒業したらうちで働こうよ。口約束じゃアレだから、内定出すよ?」
あれよあれよと手続きが進み、気がつけば、高大に内定の通知を郵送するという話になっていた。
「ありがとう、ございます……」
高大は胸がいっぱいになって、上を向いた。
気がつけば、雲ひとつない空になっている。
「今日、ここに来られて良かった。ありがとう」
高大は横峯にもそう言う。
「気分転換になるどころか、就職先決まるとは思ってなかったけど……」
苦笑いする横峯に、高大は笑った。
横峯は目を細めて高大を眩しそうに見た。
「家に帰って洗濯しよっか」
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