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それを見て驚く俺に飛びついて来る別のレイカ達!
「ご主人様!もう私達には時間がないのです!」
人生でこんなに女の子に抱きつかれた事はない、あってたまるか。
だが彼女達もまた次々に幻の様に消えてしまう。
これはもしや……
『はああっ!』
その時、地面から勢い良く水が噴き出し、分厚い壁となって俺の四方を覆った!
水の技、という事は!
『ようアキバ氏、苦労してるな』
先日見た王子様の様な衣装ではないが、間違いない。いつもギルドに誘ってくれたあの「ナガレ」だ!
「ナガレ!
あんたもいるって事は、やっぱりここはゲームの中なんだな?
レイカ達が現れたんじゃなくて、俺がこっちに来た、そうだろ?」
『おう、よくわかったね』
だって綺麗過ぎるもの。街も景色も俺のアパートも、本物よりもずっと綺麗だった。
それにレイカは頭の良いキャラだ。怖い事は言うけどここが現実の世界なら、罪を犯すとは思えない。
『アキバ氏、しばらくこのまま匿っておいてやるよ。そうすればレイカ達は勝手にどんどん減って行く。
スマホからアプリがアンインストールされると消えてしまうのさ』
サービス終了が発表された今、俺達みたいに最後まで遊んでやろうって奴は少数派だ。
「マイロードワールド」はどんどんスマホから削除されているはず。
スマホの中のレイカ達も。
『そしてある程度の数になった所で、水の究極奥義で奇襲をかけて全員を倒す。
俺は倒した敵の数によってレベルアップするからな、最後にMAX到達出来るかも』
「残った全員を倒す、だって!?」
『それが一番安全だ、分かるだろう?』
外ではレイカ達が必死に水の壁を破ろうとしているが、最強クラスまで育ったナガレの技は簡単には破れない。このまましばらく待つ方が確かに安全だが。
しばらく考えた後で、俺はナガレに言った。
「助けてくれてありがとう。
だが、レイカ達は俺がなんとかしてみせる。
出してくれ!」
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