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お世話になった鶴とか亀が恩返しに来るお話があるよね。ゲームだっておとぎ話みたいな物だし、レイカが本当に俺の所へ来てくれたらいいのに。
目が覚めたら隣にあのきれいな顔がいてさ。
『おはようご主人様。すっきり目が覚める氷のキスをあげよう』
なーんて言ってくれたらいいのに。
そんな欲望のままに都合の良い、あり得ない想像をして眠ったはずなのに。
何故か夢の中で俺は満員電車に揺られていた。
タン タタン
スマホも取り出せない程に人間が圧縮された場所。全身に誰かの体の何処かが触れている状態。すっと背中を伝う汗。
タンタン タタタン
そんな中で俺にぴったり体を寄せて来る女性がいる。ヤバい、明らかにわざとだ。
やめろ、寄るんじゃない!でも逃げられない!
タンタンタン タンタンタン
そこで覚醒した意識。
そして一瞬にして感じ取る。
夢じゃない。この感触は本物だ。
誰かの体が俺の体に触れている。
でもそれが不快ではない。
柔らかなすべすべの肌といい匂い。
そして少し重くてなんだか寒い。
────レイカ!?
パチッ、と音がしそうな勢いで目を開けた。
するとそこには……!
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