救出されるも…

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「それから少年の腸から少量の精液が検出されました」 「本当か?!」 日本はまだまだ同性愛は普及していない国だと思っていたが、警部は少年に心から同情した。 「しかし、1番先にチェックインしたのは、その少年1人だったと言う証言も得ています」 警部は頭を抱えた。 では、少年は自ら犯されにホテルに行ったという事か? そしたら合意の上だったという事で、事件性は無くなるが、脅迫されて行ったという事も考えられる。 「チェックインした時の少年の様子は?何かに怯えていたとか」 「怯えた様子ではなかったそうですが、19歳にしては若く、様子がおかしかったから覚えていたそうです」 …解らん。 19歳でも実年齢より若く見える人物は多い。 しかし、従業員の言う、おかしかった様子というのが具体性に欠けるのだ。 だが、従業員も詳しくは覚えていないと言う。 「それから現場検証した結果、白い粉が検出されました」 「白い粉…覚醒剤か?」 だとしたら、少年の様子がおかしかったのも納得がいくし、意識が戻り次第、逮捕出来る。 それから他の6人の行方は、どっちみち追わなければならない。 しかし、刑事から出てきた言葉は意外なものであった。 「いいえ、塩です」 「しお…?しおって、あの塩か?」 警部の問いに頷く刑事。 警部は一瞬、繋がりに疑問を覚えたが、ある恐ろしい想像をしてしまった。
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