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だけど、それは自分の憶測に過ぎない。
「少年の意識が戻るのを待って、詳細を聞こう。それから残りの6人の行方を追え」
「解りました」
刑事が1礼して、去っていく。
警部は、ホテルの一室での出来事に思いを馳せた。
切り裂かれた服も、おそらく少年の物だろう。
「早く意識が戻ると良いんだが…」
しかし、警部の思ったとおりに物事は進まなかった。
少年の負った心の傷が警部の想像以上に深かった為である。
そして、明け方にチェックアウトした5人は、いずれも警察に捕まったが、早朝に出て行った1人の行方は依然、掴めなかった。
「嫌だああああーーー…っ!!止めろ…っ!止めてくれ…っ!!!」
「安定剤!早く!!」
「はい!」
病室の個室は依然、戦場のようだった。
暗底している意識も死なねー限り、いつかは浮上しちまう。
俺は意識が戻った途端、あの夜の惨事がフラッシュバックして、直ぐに拘束された。
だが、四肢の自由を奪われた事で、あの夜と同じ状態になり、俺の中で恐怖が却って明確なヴィジョンを描いた。
もう何度目になるかわからねーフラッシュバックに俺は我慢の限界を越えたように、泣き喚いて拘束具が外れんじゃねーかと思う位、暴れた。
そんな俺に、何回目かもうわからねー注射が打たれる。
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