救出されるも…

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注射を打たれた俺は直に眠りに就かされた。 静かに眠る俺に、医師と看護師数人で押さえ込んでいた医療スタッフ達は、額の汗を腕で拭う。 「ふぅー…一体、この子に何があったっていうんだ…」 俺に注射を打った医師が哀れみの声色でそう言った。 男性看護師の1人が応える。 「解りません…詳細を聞きたいと警察が来ていますが…」 「それどころじゃない。この子の身内は?」 「彼の物と思われる携帯がありますが、暗証番号形式になっていますし、連絡も有りません」 「身内はいないのか?もう運び込まれて一週間だぞ」 親父達は、又、俺が女の所に泊まっていると思っているから、連絡を寄越さねーのだが、医療スタッフ達には、そんな事まで解る筈無かった。 「…精神病院に転院させる手続きを取りたいのに…。ここじゃ、治療にも限界がある。…可哀想に」 医師は眠り続ける俺の頭を撫でた。 重苦しい空気が個室内を包む。 その時、俺の眠っているベッドの直ぐ傍の小せー棚の上に置かれた俺の携帯が電話の着信音を鳴らした。 「出られそうですが、出て良いんでしょうか?」 「身内かもしれないし、警察の許可を待ってられない。切れない内に出るんだ」 医師に言われて1番近くにいた男性看護師が俺の携帯を手に取り通話ボタンをタップした。
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