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『もしもし、千夜くん。一週間も学園を無断欠席するとは何を考えているんですか?春日部(かすかべ)先生は怒っていますし、山村(やまむら)先輩は寂しそうです!』
電話を掛けてきたのは、鈴木(すずき)だった。
電話に出た男性看護師は、手で携帯を覆うと小声で医師に指示をあおいだ。
「どうやら学校の友人のようです。せんやくん…と呼んでましたが」
学校…都内の大学から掛けてきたのだろうか?と医師は思ったらしい。
「代わってくれ」
医師に言われて男性看護師は携帯を医師に差し出す。
医師は携帯を耳に当てた。
「もしもし。私は若葉(わかば)大学病院の外科医、岩田(いわた)です」
『病院の先生…ですか?千夜くんに何かあったんですね?僕は千夜くんの学校の友人で鈴木航(すずきわたる)と申します』
「話が早くて助かる。鈴木くん…と言ったか、千夜くんの身内と連絡が取りたい。連絡先を知っているだろうか?」
『連絡先は存知ませんが、千夜くんのご実家の場所は存知ています。何なら、これから出向きますが?』
流石の鈴木も警察まで介入している事は知らなかったから、岩田医師に電話でそう告げた。
「ありがとう。身内の方に至急、病院まで来てくれるように伝えてくれ」
『…解りました。失礼します』
鈴木はそう言うと電話を切った。
「鈴木くん!保と連絡が取れたのー?」
僕、山村凌(やまむらりょう)は、電話を切った鈴木くんの足にしがみ着いた。
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