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ただ、保に会いたい一心で僕は頭を下げ続けた。
「…わかった。ついてきなさい」
やったあー!
保と会える!
僕は喜びいさんでお医者さんについていった。
保の病室は個室だった。
中には男の看護師さん達が何人かいた。
「先生、その子は?」
「千夜くんの知り合いの山村凌くんだ。1番の薬になるんじゃないかと思って連れてきた」
お医者さんは「そこの丸椅子を使って良いからね」と、僕に手で示してくれる。
僕はベッドの方へ視線をやった。
保は、拘束されてたんだけど、掛け布団で隠れていて僕は気付かなかった。
保は静かな寝息を立てている。
僕は保の枕元に座った。
口元に白い綿みたいな物が当てられてる。
保、ホントに怪我しちゃったんだ…。
僕は何だか悲しくなった。
だけど、僕の悲しさはこれだけで終わらなかった。
眠っていた保が目を薄っすら開けたかと思うと、突然叫んで暴れ出した。
「ぎゃあああああーーー…っ!!離せえー…!」
掛け布団が床に落ちて、保の両手と両足は何かに繋がれていた。
僕は何が何だか解んなくてビックリした。
中にいた看護師さん達が保の体を一生懸命、押さえている。
「危ないから、退いてて!」
看護師さんの1人に連れられて僕は病室を出た。
廊下にまで保の声は聞こえてきたけど、少しして又、静かになる。
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