救出されるも…

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そんなある夜。 個室の病室で俺は眠れずにベッドに横になっていた。 『洗脳』…。 『奴隷』…。 医師の言っている事は全部真実だろう。 愛の無いセックスに、性犯罪である輪姦。 そして、数々のSMプレイ…。 自分でも、この体はどうかしているとしか思えなかった。 俺自身が明らかに感じている…俺の体は、おかしいと。 そもそも初めのきっかけは、先輩からのレイプだったから、こうなったのも先輩が原因だろう。 いつか先輩のことを完全に忘れる事は出来るのだろうか? いや…無理だな。 俺は自嘲気味に笑みを浮かべた。 忘れられる位なら、あんなに酷い目に遭わされねー筈だ。 それに愛していないのは俺も同じだ。 殺せるものなら殺してやりてー。 …だが、もし、もしも、本当に先輩がこの世から居なくなったら、この体の欲求は誰が満たしてくれるのか? 答えは出なかった。 そういや、警察からの事情聴取で俺のことを輪姦した5人は全員、刑務所送りになったと聞いた。 ザマァ!と思うと同時に出所してからの逆ギレ行為も想像しただけで怖かった。 もうあんな目に遭わされるのはごめんだ。 先輩は、今頃どこでどうしているのだろう。 俺は気付くとさっきから先輩のことばかり考えている。 もう良い加減に眠らねーとな。 そう思って布団を被った時、不意に近くに置いてあった携帯が着信音を鳴らした。 まさか…。 恐る恐る通知画面を見ると『佐藤先輩』になっている。 それを目にした途端、ゾクリッ!と心が恐怖に、体が歓喜に震えた。 俺は出てはいけねーという頭の中の警鐘より、勃起した体に勝てずに通話ボタンを押した。 完
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