モノトーン

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「落ち着いた?」  隆利君にそう言われて私はコクリと頷いた。  温かくて甘いベリーベリーショコララテが喉の奥をゆっくり流れていく。  いつもだったら隆利君に「無駄」って言われちゃうカロリーたっぷりの飲み物だ。  隆利君が自分のアイスコーヒーのグラスにストローを刺すと、カラカラと涼し気な音が鳴った。 「真由、最近何だか様子がおかしいなって思ってたけど……」  って訳じゃない。  ずっと胸の奥で燻っていた思い……。  でも、隆利君には私のこんな気持ち、きっと理解できないんだう……。  私は黙ってカフェのロゴが描かれたカップを両手でぎゅっと握りしめた。 「……結婚前、真由の素直で控えめなところが好きだった。黙って俺についてきてくれるようなところが何だか誇らしかった」  やっぱり、隆利君は黙って言うことを聞く従順な妻が欲しかっただけなんだ。  別にそれは私じゃなくても構わない。  私という人間を愛してくれていた訳じゃないんだ……。  収まった筈の涙がまた溢れそうになる。
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