恋に生きる

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 僕は愛する事を知らない。愛されて来なかったからだ。わかんねーよ。どうやら愛には責任があるらしい。それらしき事を相手に求めたりもした。愛されてみたかった。けれどもそれは叶わなかった。先に愛される事を求めて愛は成就しない。先に愛するから、愛されるんだ。それが愛の方程式だ。自己愛。そこからはみ出す事が出来た人間が、一人でも居るのだろうか?僕には責任が取れない。だからだれも責任を取らない。もうすぐ53になる。未だ僕の人生に愛は存在した事がない。  恋愛。  恋が愛になる?違う。恋と愛は別物だ。無責任に、勝手にするのが恋だ。だから僕はいくらでも、誰にでも恋をする。人生が恋そのものだ。わからないままに過ぎて終わる。だから僕は、その間ずっと恋をしている。  自己愛なる言葉はあっても自己恋って言葉はたぶんない。恋は自分から外へ向かう。だから責任が生じない。そういう観点から見れば、やっぱり受け止めるのが愛だろう。その受け止めるべき愛を、誰も僕に向けない。だから愛しようがないんだ。感じないだけかもしれない。愛情不感症。それは希望的観測に過ぎる。「きっと誰かがあなたを愛しています」そんなの嘘だ。感じねえもんは感じねえ。ハマってたまっか。誰も僕を愛してないから感じない。それだけだ。  だから僕は愛に見切りを付け、ひたすら恋する事にした。恋は自由だ。同時に何人に恋したって良い。何も起こらないし、仮に起こってもただそれだけ。便利だ。見返りのない恋。夢みたいな夢な恋。僕は毎日それに焦がれて真っ黒焦げ。ああ楽しいな。もう愛なんて要らないんだ。
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