桜の木の下で恋をして

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6・カップル限定夏祭り♡ ついに、夏祭りの時期が訪れた。 私は、今日のために新一と予定確認を念入りにチェックを行ってきた。 もちろん、私は浴衣を着て、ピアスをして、髪型は祭りに売ってつけのお団子ヘアで祭り会場に行く。 待ち合わせ場所は、夏祭り会場の入り口付近で私は新一と待ち合わせ中。 待ち合わせ時間は、夏祭りが開始する16:00丁度に待ち合わせする事を新一と約束をしたが、、、待ちきれなくて待ち合わせ予定時間よりも1分でも早めにフライングをしてしまった。 だから、私は今夏祭りの会場に向かっている最中。 蝉の声が耳を通り過ぎるが、蝉の声に負けないくらいに私の心臓の音がやけにうるさい。 信号待ちをしていた時だった。 一個手前の信号で、新一が信号待ちをしているのが分かった時は、、、何だか嬉しかった。 私は、信号待ちをしている時間を上手くなにかに利用したいと考えた私は「彼氏が出来た時にやりたいことリスト♡」と書かれた手帳ノートを手に取った。そこで私が厳選したのは、、、「信号待ち、メール上で私を探せかくれんぼ」をチョイスした。 まさに、今に売ってつけだろう。 私は、そこで計画を実行した。 「新一、今どこにいるの?」と送信をした。 既読は、すぐに付いた。 「夏祭り会場にあとちょいぐらいの信号で信号待ち。」 「私も同じだwww」 「何だ、あやなもかwww」 「うんw私達、気が合うね。」 「そうだな。」 「あやなは、まつり会場からあとちょいの信号で待ってるのか?」 「いや、夏祭り会場からあとちょいのちょいの所で信号待ち中。」 「そっかぁ、、、じゃぁ待っといてやるよ。」 「本当!!」 「あぁ、、、。」 「ありがとう!嬉しい。」 「おう。」 「待ってくれるんだったら、、、私を探してみて。」 「えっ、、、。探せるかぁ?」 予想通りの展開になった。 私は、新一が一生懸命私のことを探してくれているのを眺めながら信号待ちをした。 すると、新一からメールが届いた。 「あやな、水色の花柄の浴衣を着ていてお団子結びをしていて赤い花の花飾り を身につけいてピアスをつけてる?」 「えっ!」 スマホの画面をつい、顔に近づけてしまった。 私は、びっくりして浴衣の色に髪型に髪飾りを隅々まで確認して新一が信号待ちしている場所に視線を向けた。 すると、新一が黒色のシンプルな浴衣を着た姿で腕を組んで私の事を見ていた。 私は、照れくさくなり顔が真っ赤になってしまった。 そんな私を見て新一は、優しく微笑みながら腕を組んでいた右手をそっと上げ小さく私に手を振ってくれた。 私は、一気に嬉しくなったのもそのはず、「彼氏が出来たらやりたいことリストの一つを達成した」「私に新一が手を振ってくれた」「新一が私の事を探してくれた」3つの嬉しさが私の心の中で温まった。 丁度いいタイミングで、信号の色が赤から青に代わり私は新一の所に駆け足で行った。 「お待たせ!待ち合わせ時間よりも少しフライングした?」 私は、新一が私の事を大切にしてくれているのかを試すために質問をした。 すると、新一は、、、。 「フライングしたよ。全然してた!」と元気よく答えた。 新一はこういうイベントなどになると、子どものようにはしゃぐ。 でも、そんな新一もどんな新一も私は受け入れていくつもりで今まで付き合ってきた。 「私もフライングしたよ!」 「何だあやなもか!」 「俺達、さっきっから気が合いすぎじゃね?」 「確かに!そうだね〜!」 「ちなみに、大体どのぐらいでフライングした?」 「大体?う〜ん、、、。」 新一が真剣に考えるのと同時に私も真剣に考えたりしたが、答えはすぐに出た。 「1分ぐらいでも早!、、、。」 「1分ぐらいでも早!、、、。」 「あっ、、、。」 「あっ、、、。」 「wwww」 「wwww」 二人同時で言うことが被ったのが、何だか恋人らしく感じて笑顔が二人同時に零れ出た。 信号も、渡りきり祭り会場に着いた。 カップル限定の祭りだから、綺麗に彩られている。 「綺麗だな。」 「うん。」 「ここに来て正解だったな。」 「確かにそうだね。」 私と新一は、華やかに彩られている恋神社の入口付近で足を止めた。 少し長めにあたりを見渡していたら、新一がそっと私の手に触れた。 私は、急すぎて少し手を引いてしまったが新一が引いた手を追いかけて私の手を握った。 その時の新一の手は、優しく包み込んでくれるような温かさだった。 「最初のデートで手を繋いでなかったから、丁度いいと思って手を繋いだんだけど、、、無理だった?別に、無理して手を繋いだままにしたくていいからな!」 新一は、焦りと勇気が混ざったような言葉の感情が滲み出でいた。 「大丈夫だよ!本当の事言うと、、、手を、、、繋いできて欲しかった。」 私は、新一が勇気を出して手を繋いで来てくれたその勇気を称えるために、新一が喜びそうな言葉の選択をして私は新一に届けた。 その気持が、新一に伝わったのだろう。 「そうか。なら、良かった。」 さっきの言葉の口調よりも、遥かに嬉しい気持ちとホッとした気持ちが軽い口調で伺えた。 そして、私は新一と手を繋いで夏祭りの会場へ急いだ。 あたりを見渡すと、「りんご飴」「綿あめ」「チョコバナナ」といった祭りの定番がずらりと並んでいた。 他にも、「射的」「輪投げ」「くじ引き」などのカップルの距離がより縮まる屋台が沢山出されていた。 そして、私と新一は思う存分祭りを楽しんだ。 思う存分楽しんだ分、私の心が揺れ動いた屋台もあった。 特に、心が揺らいだのは「射的」と「輪投げ」だ。 私は、元々バランス感覚が重要な部分に関しては自信があったが、なぜか新一と一緒にいるとなると緊張して手が震えてしまう。 それでも、新一は私にそっと手を伸ばし優しく支えてくれるだけでなく、当然のことだと思うが、距離も一段と近い。 新一の浴衣から香る、ラベンダーの香りが仄かに和らいだ。 そして、新一は時に、、、。 「こらこら、前に集中しなくてどうするんだ?」と親目線の発言を時にしてきたが、私は言い訳を考えたりして何とか乗り切った。 あと、新一は親目線の発言をするだけでなく、私を安心させてくれるような言葉もかけてくれた。 「大丈夫。バランスは崩れたりしたいから俺に身を任せて弾を打ってね。」とか「輪投げは、こうすれば上手く投げれるから頑張って。俺も昔は下手だったからあ やなの気持ちは分かるよ。」とか。 男らしさ・お兄さんぽさを出して来る部分もあったが、頼りになった。 夜になった。 カップル限定の夏祭りもラストに近づいてきた。 新一が、たこ焼きを買いに行っている間に花火を見るための席を私が事前に確保しておいた。 一番の特等席だ。 「これでよしと!」 私は、レジャーシートを広げ新一が来るのを待った。 「あやな!」と言う声が聞こえて私は、後ろを振り返った。 新一が私に手を振っているのが分かった。 私も、手を振った。 「ここだよ!早くおいで!!」 私は、新一を急かすように花火が上がるアナウンスが流れるのをたこ焼きを新一と食べながら待った。 花火が打ち上げられるのを待っている間、私と新一でたこ焼きをお互い食べさせあった。 「ほら、新一!あ〜ん♡」 「え、、、。」 「ほら、早く!」 「あ、、、あ〜ん!、、、ん!?うまい!!」 「本当!買って良かったじゃん!」 「うん!マジでうめえ」 「それは、良かった良かった。」 「あやな!」 「ん〜?」 「あ〜ん♡」 「えっ、、、。いいの?」 「いいから、早く食え!」 「じゃぁ、、、お言葉に甘えて、、、あ、、、あ〜ん!ん〜ん!!美味しい!!」 二人とも照れながら、たこ焼きを食べたが、新一と食べ差試合っ子するのは初めてだったけど、悪くはなかった。 そして、花火の打ち上げアナウンスが流れた。 「間もなく、花火が打ち上がりますのでもう少しお待ち下さい。繰り返します。間もなく、花火が打ち上がりますのでもう少しお待ち下さい。」 アナウンスが流れてから、1分ちょっとで花火が打ち上がった。 私は、「綺麗〜。」と呟きながら花火を眺めた。 花火に夢中になっていた私を新一は、そっと肩を叩き私の名前を呼んだ。 「あやな。今日は、祭りに誘ってくれてありがとう。今日一日マジで楽しかった」 「新一。私も、ありがとう。楽しかったよ。後、たこ焼きごちそうさま」 なんでだろう。 体が自然と、新一側によって来た。 「チュ、、、」 気づいた頃には、私は新一とキスをしていた。 そのキスは、甘くて濃厚なキスだった。 あと、、、多少ではあるけれど、キスをしながら新一の手を握りしめた。 この時、私は思った。 私は、まだまだ新一の愛の重さを知っていなかったという事を。
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