桜の木の下で恋をして

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5・愛の熱 「井上新一は体調不良で欠席なので、井上の家に行ける生徒は必ず先生に報告しておいてください。最近欠席者が多くなってるから体調管理には気をつけるように。以上。」 新一は、体調不良で学校を欠席していた。 その代わり、私は新一の家に行って学年だよりや修学旅行についての大切な資料を渡すために、新一の家を訪ねに行った。 「ピンポーン!」 「はーい。井上です。」 新一のお母さんが返事をしてくれた。 「新一と同じクラスの近藤あやなです。お渡ししたい物がありまして、お伺いいたしました。」 私は、いつも通りいい慣れた話しっぷりで返事をした。 すると、新一のお母さんの元気な声が聞こえてきた。 「あら!あやなちゃんじゃない!新一なら寝室で寝てるわよ。わざわざ、来てくれてありがとね。新一に手紙とか渡し終わったら、帰る前にお茶でも飲んでって!最近の新一とあやなちゃんの関係がどうなのか気になってるから、後で話聞かせてね!」 新一のお母さんの里美さんは、相変わらず恋話が好きでなんだか可愛らしいお母さんだ。 「はい。幼児が終わり次第、里美さんの方へ行きますので待っていてください!」 私は、元気に返事をしてから、新一がいる寝室に急いだ。 恐る恐る扉の方へ近づいて、新一に話しかけた。 「コンコン、、、。新一?入っても大丈夫?」 すると、新一の弱った声が聞こえた。 「入って構わない、、、そんなに気にしなくていいよ。次回からは、勝手に入って きていいから。」 体調不良なのにも関わらず私に気を使ってくれている新一が、私にとって好きな一面だ。 「わかった。じゃあ、、、入るよ。」 そして、私は新一の部屋に入って渡すものを机の上に一つ一つ置いていった。 「新一の症状は何だったの?」 「症、、、状?、、、ただの、、、風邪だよ。」 「風邪がただの症状だって言うの?相当重症だよ!でも、ちょうどよかった。風邪 に聞きやすい薬と、喉に優しい飲むゼリーを買ってきたから遠慮なく使ってね!もぉ、、、本当に新一には気をつけて欲しんだから。バスケ部の部長をやってて忙しかったりするのは分かるけど、無理は禁物だから!そこだけは、運動部の人には気をつけてもらいたい部分なんだから!!今度からは、気をつけてね!」 「分かったってば、、、。今度からは迷惑が掛からないよう、、、ゴホゴホ!!」 「ほら、いわんこっちゃない!無理して喋らないで!!余計悪化する。」 「ごめん。頼りない俺で済まなかった。」 突然、新一が謝ってきたのを耳にした時は謝る理由が分からなかった。 「なんで、謝るのよ!新一に私は散々迷惑かけたりしちゃったり、頼りにしてるのに!もう少し、自分に自信を持ちなさいよ新一。新一らしくない。」 「ありがとう。少し、楽になった。後、、、わざわざ手紙とか届けに来てくれてありがとう。頼りにしてるよ。」 「何よ急に、どうしたの?でも、それだけ信頼されている事だから気にせず頼ってよ。だって、私達恋人同士でしょ?こうゆう時こそお互い助けて当然だよ。」 「そうだな、、、。」 新一に感謝されているのを肌で感じた時は嬉しくて、笑顔が消えなかった。 そんな私を見て新一が話しかけてきた。 「あやな、、、。こっち向いて、顔を俺の所に近づけて。」 「えっ、、、?」 急すぎて、なんだか分からなくなったが新一のゆう通りに顔を近づけた。 すると、新一は私の耳に垂れていた髪の毛をかけた。 新一は優しく私に話しかけてきた。 「今日は、本当にありがとう。明日は、学校に行けそうだから心配しなくて大丈夫 だよ。後、、、あやな忘れ物してるから忘れ物を持ち帰ってね。」 「忘れ物?」 私は、てっきり新一の家になにか置いていったのだろうと思っていた時だった。 「チュ、、、。」 新一は、私のほっぺにキスをしてきた。 「えっ!新一何してるのよ!」 驚いた声で新一に声をかけた時には、私の顔は赤くなっていた。 そんな私を見て新一は、優しく微笑んだ。 「これが、あやなの忘れ物だよ。今度からは忘れないようにしてね。だって、俺達 恋人同士だろ?」 「当たり前でしょ。恋人同士じゃなかったら、キスなんて許してないからね。」 新一が言う恋人同士は、私にとって特別な言葉に感じた。 「忘れ物は、渡し終わったから気をつけて帰るんだよ。」 「分かってる。少し里美さんとお茶してから帰るから。」 「そうか、、、。でも、話に夢中になってちゃ駄目だからな。明るいうちに家に帰りなね。」 「うん。ありがとう。」 そう言って新一の部屋を後にした。 新一に渡すものを渡し終わり、里美さんの所に急いだ。 階段を急いで駆け下りた時、紅茶の甘い香りが仄かに漂い始めていた。 私は、紅茶の甘い香りに引き寄せられたように歩いていった。 「里美さんお待たせしました!無事、新一に手紙や宿題を渡せました。」 私は、元気よく里美さんに話しかけた。 そんな私に里美さんは笑顔で返事をしてくれた。 「ありがとう!頼りになったよ。お茶はもう入れてあるから、好きな場所に座って!」 「ありがとうございます。」 里美さんと私の関係は、新一と付き合い始めて初めてのデートに行った日に記念写真を取っていて、新一がその写真を見せてからが、里美さんと私の関係が始まった。 里美さんと私はとても、仲良しで話してると時間を忘れてしまうくらい話すのがとても楽しい。 里美さんとよく盛り上がる話は、恋話で毎回盛り上がっている。 そして私は、ガラステーブルに置かれてあった紅茶を飲みながら里美さんと話した。 「この紅茶ってどんな紅茶なんですか?」 「え!気になる〜?」 「気になりますよ〜。」 「この紅茶は、、、ルイボスティーよ!」 「ルイボスティー?」 「そう!このルイボスティーは美肌効果に期待できるのよ!!」 「え!!そうなんですね!!母の日とかにプレゼントすると良さそうですね!!」 「あやなちゃんも、やっぱりそう思う?」 「はい!」 「私の家では、ルイボスティーをストックしてあって沢山余ってるから、あや なちゃん1〜2箱家に持ち帰る?」 「えっ!良いんですか?!」 「いいのよ。」 「ありがとうございます!!」 毎回、里美さんと話してると決まった返事が返ってくる。 すると、里美さんが話しを続けた。 「あやなちゃん!今年から、夏祭りがあるの知ってる?その夏祭りは、近くの恋神社でやる神社なんだけど、、、その夏祭りがね!!カップル限定なんだっ    て!!」 「えっ!!そうなんですか!?」 耳寄りの情報を大抵、里美さんは知っているから、私は結構助かっている。 「里美さん、毎回私は思うんですが、、、どこからそのような情報を入手してるんですか!?」 私は、食い気味で里美さんに情報入手の仕方のコツを教えてもらった。 「情報入手は大変だよね!コツを大体3つくらい教えてあげるから学校とかで教えたコツを活用してね☆」 「ありがとうございます!!」 本当に、頼りになる。 私の、父・母の次に頼りになる大人の人だ。 そして、里美さんは情報入手のコツを細かく教えてくれた。 「まず、情報入手するために心がける事があるから、必ず覚えてねメモをとってもいいから。」 「はい。」 私の細かい部分まで、見てくれているとなると里美さんが物事に対する行動がとても速い事を感じる。 「情報入手は、何が本当で何が嘘かを見分けたり見比べるのが大切だから、最初のステップが学校生活内でできていたら問題はないよ。次に、見分けることができたら自分が知りたい事をもっと深掘りをする事が第二のステップだよ。第一のステップ・第二のステップが終わったら、自分かこれまでしてきた情報の見分けや比べ・情報の深堀りが出来たら、PCや図書館に行って自分が知りたい情報が乗っている本があったら買ったり、借りたりするのが有効的だよ。私が、特に大切にしながら情報入手をしているのはこのぐらいかな。」 「なるほど。」 本当に里美さんの話は、聞き取りやすいだけでなく分かりやすい。 里美さんの話が分かりやすく聞き取りやすいのもそのはず、里美さんは元々中学校の国語教師をしていた人だったけど、今現在は芸能界に入って一躍有名な女優までになるほどの実力者だ。 私が、里美さんから聞いたポイントを紙に細かくメモをしていると里美さんは優しく微笑みながらメモの取り方についても教えてくれた。 「あやなちゃん、それじゃ自分が読もうとしても何が何だか訳わからなくなるでしょ?そんな時は、メモ用紙の一番上の部分にタイトルを付けておくと便利だよ。そこから、「第①ステップ」・「第②ステップ」・「第③ステップ」と書い ていくと、、、ほら!分かりやすいし読みやすいでしょ?」 「本当だ!?」 「でしょ?」 里美さんと話すのに夢中になっていたら、17:00を過ぎていた。 「えっ!ヤバ!!もう17:00過ぎちゃった!?」 驚きを隠せない私の顔を見て、里美さんは何かひらめいたかのようにそっと私に話しかけて来た。 「あやなちゃん。カップル限定の夏祭りについてなんだけど、新一と一緒に行ってみたらどう?そしたら、新一とあやなちゃんの距離がグッと縮まるかもよ。夜には、花火を打ち上げるって言ってたから。」 「はい!そうします!!夏祭りの期間ってどのぐらいですか?」 「夏祭りは、8月1日〜8月3日の三日間でやるみたい。時刻は16:00〜20:00までやっ ているみたいだから。新一と予定確認をしっかりして行ってらっしゃい。」 「はい!」 私は、里美さんと別れを告げ夏が始まる寸前の春の温かい風邪に髪の毛を靡かせながら歩き出した。 私は、初めて次に訪れる季節が早く来る嬉しさを覚えた。
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