3

3/5
前へ
/13ページ
次へ
 パッと真翔から視線を逸らすと、少し溶けそうになっていたアイスを食べた。口の中がひんやりとした。でも頬の熱は下がらなかった。 「あれ、安曇じゃん」  自転車に乗っていた葉月が私の姿に気が付くと、自転車から降りて公園の中に入って来た。隣に真翔がいるのに気が付くと「え?」と言う。 「お前らそういう感じだったっけ?」  葉月が少しだけ空いたベンチのスペースに腰を下ろし、私たちは自動的に少し端に寄る形となった。 「違う。ただ感想会を開いてただけ」  私が反論すると、「感想会?」と葉月が聞き返した。本を見せると葉月が納得したような顔をする。 「てかアイス食ってんじゃん。安曇、俺に一口くれよ」 「嫌だよ。自分で買ってきなよ」 「いいじゃん、一口くらい」 「てかもう帰ってよ。私たちまだ感想会の途中なんだから」 「えー俺も混ぜてよ」 「あんた本読まないでしょ」 「読まないけど、安曇が内容教えてくれればオッケー」 「絶対に嫌」  「あのさ」と真翔が口を挟む。私たちが真翔の顔を見ると、真翔が熱を帯びた瞳で私のことを見ていた。私はその瞳にドキッとしてしまう。 「俺との会話忘れないでくれる? 俺けっこう真剣に話してるんだけど」 「真剣に話してる?」  葉月が聞き返した。 「俺、今安曇にしてる所なんだよね。だから葉月悪いけど、帰ってくれる?」  「え?」と私と葉月の声がハモった。告白してる所、って今言った? 言ったよね? 理解が追い付かず、状況についていけそうにない。あの台詞は告白だったということ? 「え、告白? え、ま、ちょ、え? 真翔って安曇のこと好きなの?」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加