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パッと真翔から視線を逸らすと、少し溶けそうになっていたアイスを食べた。口の中がひんやりとした。でも頬の熱は下がらなかった。
「あれ、安曇じゃん」
自転車に乗っていた葉月が私の姿に気が付くと、自転車から降りて公園の中に入って来た。隣に真翔がいるのに気が付くと「え?」と言う。
「お前らそういう感じだったっけ?」
葉月が少しだけ空いたベンチのスペースに腰を下ろし、私たちは自動的に少し端に寄る形となった。
「違う。ただ感想会を開いてただけ」
私が反論すると、「感想会?」と葉月が聞き返した。本を見せると葉月が納得したような顔をする。
「てかアイス食ってんじゃん。安曇、俺に一口くれよ」
「嫌だよ。自分で買ってきなよ」
「いいじゃん、一口くらい」
「てかもう帰ってよ。私たちまだ感想会の途中なんだから」
「えー俺も混ぜてよ」
「あんた本読まないでしょ」
「読まないけど、安曇が内容教えてくれればオッケー」
「絶対に嫌」
「あのさ」と真翔が口を挟む。私たちが真翔の顔を見ると、真翔が熱を帯びた瞳で私のことを見ていた。私はその瞳にドキッとしてしまう。
「俺との会話忘れないでくれる? 俺けっこう真剣に話してるんだけど」
「真剣に話してる?」
葉月が聞き返した。
「俺、今安曇に告白してる所なんだよね。だから葉月悪いけど、帰ってくれる?」
「え?」と私と葉月の声がハモった。告白してる所、って今言った? 言ったよね? 理解が追い付かず、状況についていけそうにない。あの台詞は告白だったということ?
「え、告白? え、ま、ちょ、え? 真翔って安曇のこと好きなの?」
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