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「好きだよ」
私はぎょっとした表情で真翔を見た。今ちゃんと「好き」って言った。真翔が私を好き。
「でも今まで喋ってなかったじゃん!」
「それは葉月がずっと喋ってたからだよ。それにいざ喋ろうと思うと、なかなか話せなかったんだよ」
「いや、え、安曇が好き? なんで安曇? やめとけよ。こいつデカいし、雑だし、お前には似合わねぇって。安曇は、とにかくやめとけよ」
慌てた様子で葉月が反論する。訴えかけるような瞳で真翔を見ていた。
「葉月って、安曇のこと好きなんだよね? 悪いけど、俺は友達に譲るほど良い奴じゃないから。友達が好きだからって諦める奴でもない」
「え?」
私は葉月を見た。葉月は顔を真っ赤にさせて私を見ていた。
「だっ、誰が安曇を好きかよ!! 俺はこんな奴好きじゃねーよ! 勘違いすんな!」
葉月は立ち上がると、急いで自転車に跨いで漕ぎだした。辺りはしんと静まり、ただ太陽のじりじりとした熱さだけが残った。
「えっと……」
私は何を言っていいか分からず、取り合えずそう言って真翔を見た。
「ごめん、なんかムキになって」
「え、いや、全然」
私は真翔の顔が見れず、下を向いてしまった。変な所から汗が滲み出ている気がする。
「俺たちまだ喋り始めて2ヶ月とかしか経ってないし、安曇は俺をそういう相手として見てくれては無いと思う。けど俺にとっては安曇は1年生の時からずっと好きで、だから葉月が羨ましかった」
真翔の顔が見れない。
「安曇、こっち見て」
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