たつくんのなつまつり

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チンチン、 シャララ、 ピーヒャララ  じんじゃから、 にぎやかな まつりばやしが きこえてきます。 「ねえ、 はやくいこうよ」 たつくんは まちきれなくて、 おねえちゃんの ゆかたの そでを ひっぱりました。 「はいはい、 ちょっと まってね」 おねえちゃんも おかあさんも、 おびの いろを えらぶのに むちゅうです。 「やっぱり、 きいろ が いいんじゃない?」 「もう!」 まちきれなく なった たつくんは、 ひとりで いえを ぬけだしました。 「さきに いっちゃえ」 おおどおりの むこうがわには、 かぞえきれないほどの やたいが ずらりと ならんでいます。 たこやき、 ふくびき、 スーパーボールすくい……。 わらいごえや かけごえで わんわん もりあがるなかを、 たつくんは、 きょろきょろ あるきました。 「どれに しようかな……」 ポケットの なかには、 おこづかいの ひゃくえんだまが ろくまい。 「あ」 たつくんは、 きんぎょすくいの まえで たちどまりました。  すいそうの なかを、 ちいさな あかい さかなが すいすい およいでいます。 ひとりで きんぎょすくいを したことは、 まだ ありません。 でも、 たつくんは、 どうしても やってみたく なりました。  ポケットの なかの ひゃくえんだまを にまい わたすと、 おじさんが あおいポイを くれました。
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