たつくんのなつまつり

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たつくんの めのまえに、 おじさんが とうめいな ふくろを さしだしました。 なかには、 さっきの きんぎょが はいっています。 「ほら、 ぼうや」  たつくんは、 びっくりして、 かおを あげました。 「いいの?」 「おまけだよ」  おじさんは、 ちいさなこえで いって わらいました。 「ありがとう!!」 たつくんは、 ふくろを りょうてで だきかかえて、 きんぎょを みながら あるきました。 ひらりひらり、 しろい おびみたいな しっぽが ゆれます。 「はやく おねえちゃんに みせよう」 たつくんは、 いそぎあしに なりました。 「あれ……?」 たつくんは、 たちどまって あたりを みまわしました。 いえに むかって あるいてきた つもりだったのに、 ここは、 どこでしょう……おおきな きの かげが おちて、 ぼんぼりが とおく みえました。 まつりばやしが、 きゅうに きみわるく きこえました。 そのとき、 「たつ!」 こえの するほうを みると、 あかい ゆかたの おねえちゃんが、 きのしたに たっています。 「おねえちゃん!!」 「たつ、 ひとりで いっちゃ、 だめ じゃない」 おねえちゃんは、 たつくんの てを にぎりました。 まっしろい おびが、 やみのなかで ひらりと ゆれました。  
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