4 光輪君・昴《すばる》

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「主上、氷翆(ひすい)は前々から降神(こうじん)島を(あら)()(おう)の根城にするため、動いていたのですが」 「なんだよ紫水、こら」 「火熨斗(ひのし)。おまえは氷翆(ひすい)にこき使われるのが嫌で、仕事をさぼっていたのだな」 「うるせえな。ったく、龍はどいつもこいつもクソ真面目で、働きすぎなんだよっ」 「二人とも……いいから俺の話を聞け」  言い争う二人の前で、おもむろに柏手を打つ。とたんにぴたり、双方の動きが止まった。 「状況はよくわかった。とにかくまずは(ほたる)奪還(だつかん)だ」 「御意(ぎよい)」「あー、悪ぃ」 「では紫水(しすい)(ほたる)を、火熨斗(ひのし)は島を手に入れろ。――行け」  は、と一礼して去って行く闇影(やみかげ)たちを見送り、一人その場に胡座(あぐら)をかいた。 両手を(ひざ)に置いてまぶたを閉じ、すぐさま瞑想(めいそう)体勢に入る。 紫水が教えてくれた(かしり)(くさび)の操術は、こんな時でも有効だ。 (今、気になるのは(ほたる)の安否だ。もしあいつの身になにかあったら、ただじゃおかないぞ)
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