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――戻っておいで、螢。
この薬と声は。頭を鋼鉄棒で殴られたような衝撃を覚える。
まちがいない、今、光輪君が螢に与えたのだ。しかも口移しで。
なんで、いやだ、やめろ。螢に触れるなよ、そいつは俺の恋人だぞ。
「くそ、紫水……っ、早くしろ!」
焦りと苛立ちで心が乱れる。落ちつけ、まずはこの感情を抑えろ。平静を保て。螢を守るためだ、絶対にもう呪を発動させるな。
けれど俺が制御を回復させる間にも、光輪君の横にいるらしき青龍が、螢に余計なことを吹きこんでいた。
――雷天神は天齢十歳前後で、生涯つれ添う伴侶を感知する。だからこの昴は一時の気の迷いじゃなく、本気で螢の伴侶になりたいと願っているんだぞ。
――ほ……本当なの昴?
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