4 光輪君・昴《すばる》

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 ――そうだよ、(ほたる)。俺はそのために()宮に入って衛士になった。そして、ざっと百年は君を探していた。  なんのてらいも嘘もなく、男はしごく誠実にそう告げる。百年、だと。愕然(がくぜん)とした。  なるほど。光輪君にとって俺は、あとから出てきて運命の女性をかすめとった邪魔者で、自分こそが(ほたる)の正当で唯一の男なのか。これが(ほたる)のもう一人の宿命の相手――。  胸をえぐられ、たたきのめされる。 いったいどういう風体をしているのだか、呪楔(かしりくさび)で男を見ることは叶わない。 だが、俺には無理だ。荒之王は、光輪君のようには正々堂々と生きられない。 (光輪君、(すばる)。この世の創造主の昆孫(こんそん)にして、光と調和をもたらす神子、和之王(にぎのおう)か)  和之王(にぎのおう)と対をなす者として(あら)()(おう)は在る。むこうが光ならこちらは闇。なにもかもが真逆で、相反する存在。 (ほたる)(かしり)(くさび)を打った夜がちらと脳裏をよぎった。  ――たたら、やだ、わたし、今夜のこと忘れたくない。
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