1 呪楔《かしりくさび》

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 (ほたる)は火を操る焔師(ほむらし)だ。ただ(きら)気と(くら)気を合わせ持つので、うまく力を(あやつ)れない。 そのことで本人は矜持(きようじ)をいたく傷つけられている。安心させるように髪を()でてやった。 「心配するな。なにも怖くはない」  こいつはまだ生娘(きむすめ)だ。どこか純粋な宝玉を汚すようで後ろ暗かった。 けれどかつて(ほたる)は俺を好きだと言ってくれた。どうしようもなく(けが)れている、この俺なんかを。 だからどうしても守りたかった。俺と同じ目に螢を合わせたくない。 それには心臓に俺の所有紋を刻んでしまうのが手っ取り早かった。 「あっ……」  細心の注意を払って、寝具の上に押し倒す。それから手早く黒上衣を脱ぎ()てた。 青白い光に褐色(かっしょく)肌の半身をさらす俺を、(ほたる)は不思議なものでも(なが)めるように見つめている。 「どうした、(ほたる)」 「え、だって。すごい……から」 「なにが」 「う……、たたら、どこで身体、(きた)えたの」  思わず吹き出してしまった。 「いやか、あまり筋肉質なのは」
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