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「貴様!何者だ!?どうしてここに!?」
焦る飯田とは対照にローブの男は汗一つ掻かずに口を開く。
「…貴様ならあの道の分岐にも納得だ。」
「何を訳の分からんことを…!おい!誰かいないか!!」
飯田の言葉など気にする様子を微塵も示さず、ローブの男は一つの質問を投げかけた。
「…どういう意味だ?そんなもの…―」
飯田の答えを聞き、ローブの男はスゥと目を閉じた。
「…いずれまたすぐに会うだろう。その時は…別の回答を期待しよう。」
そう言い残すとローブの男は煙のようにその姿を消した。
それから数日が経った頃、観察者は個々の可能性が広がる"可能性の森"を訪れた。鬱蒼と茂る木々の中から目的の木を見つけるとそこへ降り立った。
「(やはり生死をさまよっているか。)」
再び飯田と対話するために観察者は深くフードを被った。
「…貴様!」
「車での移動中に反飯田派を掲げる大型トラックによる突進…意識不明の重体か。」
可能性の大樹が示した飯田武男の結末を述べると飯田はグッと歯を食いしばった。
「なぜ貴様は…!それを知っていながら私に伝えなかった!?」
観察者に迫り声を荒げた。
「それはあくまで一時凌ぎにすぎない。」
「なに…!?」
つまりは反対勢力の攻撃はこの一回ではない。それを理解した飯田は先程までの威勢を完全に失ってしまい、涙を浮かべその場にしゃがみ込んだ。
「私は…国民の為に尽くしたと言うのに…どうしてこんな…。」
「当然だろう。」
飯田の言葉に観察者が口を開いた。
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