サプライズ。

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サプライズ。

「あーあ、余計にくたびれた。風呂、入って来る。ちなみにそのワイン、常温で飲んでも美味いのか?」  先輩の問いに通販サイトを確認する。 「いや、冷やして飲めって書いてありますね」 「駄目じゃん!」 「サプライズに気を取られ過ぎました。本当に何一つ、いいことが無かったなぁ」 「二度とやるなよ。私に隠し事はして欲しくないし、そもそも君は仕掛け人には向かないらしい」 「まあ、先輩を悲しませるのは嫌ですから」 「よろしく頼む」  やれやれ、と言いながら先輩はトイレへ向かった。ううむ、最初で最後のサプライズがこんな最悪な形になろうとは。まあこんな日もあるか。さて、ワインを冷蔵庫に仕舞うとするかね。  その時、おい、と先輩がリビングへ飛び込んで来た。 「トイレの水! 流してないぞ!」  そういや先輩が帰って来る前に小用を足したな。 「すみません。これからサプライズを仕掛けるんだ、って意識がそっちに向き過ぎて流し忘れました」 「本当に余計な影響しか無いな!」 「でも先輩。びっくりしたならそれもサプライズってことに」  言い終わる前に、跳び上がった先輩が拳骨を振り下ろした。びっくりする程、痛かった。
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