渚、後輩男子とデートする

2/5

161人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
「あ、ありがとう。」 「どういたしまして。」 優しげな目で、そうにっこりと微笑む和樹の笑顔がまぶしい。 会社が定休日の午後、渚と和樹は都内にある遊園地へ遊びに来ていた。 「宗像君の私服って新鮮。会社ではスーツ姿しか見ないし。」 今日の和樹はTシャツにGパンというラフな格好で、その童顔も相まって学生といってもおかしくない風貌だ。 「それを言うなら渚先輩だって。」 渚も今日はデニムのワンピースに黒いレギンスを履いて、カジュアルな服装だ。 「お洒落な渚先輩も素敵ですけど、今日みたいな軽装もいいです。もっというならすっぴんの先輩も見てみたいです。」 「なにそれ。褒めすぎ。」 和樹の言葉はどれも渚に対する賛辞ばかりで、耳に心地よく響く。 女としての自尊心を満たしてくれる。 それに比べて湊は・・・。 渚は湊の憎まれ口を思い出していた。 お前呼ばわりだし、口は悪いし、不機嫌になると私を置いて行っちゃうし。 けれど、渚がなんの気も遣わず飾らず対等に話ができる男性は、湊が初めてだった。 いけない、いけない。 渚は湊の残像を吹っ切るように、ふるふると首を横に振った。 今日は宗像君とのデートなんだから、湊のことなんか忘れて楽しまなきゃ。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加