渚、俺様男と罵り合う

1/4

159人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ

渚、俺様男と罵り合う

「ええっ?!ここが奈央君の家・・・?」 「はい。そうです。」 たしかに渚は子供の頃からこの家の存在を知っていた。 高い塀に囲まれた広い敷地を有するこの邸宅を見るたびに、一緒に登下校していた友達と「ここって誰が住んでるんだろう?」「有名人かな?」「俳優だったりして。」「いや、総理大臣かもよ?」「一度でいいから中に入ってみたいよねー。」などと囁き合ったことを思い出す。 奈央は黒くて大きな表門からではなく、裏手にある小さな出入り口の鍵を開けると渚に手招きした。 「表門から入るのはセキュリティーの関係上面倒なので、基本僕はこちらから出入りしてます。さあ渚も入って。」 「う、うん・・・。」 図らずも長年の夢が叶うことになり、渚は胸を高鳴らせながら足を踏み入れた。 「うわあ・・・」 入るとすぐに広い庭へつながっていて、豊かな葉を揺らす木々が立ち並び、色とりどりの季節の花が咲き乱れていた。 特に白い薔薇が咲いている一角は圧巻だった。 「素敵なお庭ね・・・。」 うっとりと庭を見渡す渚に奈央は冷めた声で言った。 「そうですか?手入れが大変なだけですよ?」 「何言ってるの?こんなお庭のある家に住めるなんてすごいことよ!ここローズガーデンなのね。ああいい香り・・・。」 渚は白い薔薇に顔を近づけその香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加