渚、スイーツは『愛』だと訴える

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「ねえ、奈央君。湊さんが作ったそのパウンドケーキ美味しい?」 奈央は生クリームがたっぷりとかかったバナナパウンドケーキを口に頬張りながら目を伏せ小さく頷いた。 「じゃあチーズケーキは?この前食べたチョコレートマフィンは?」 「・・・まあ。普通に美味しいけど。」 「だよね!」 渚もフォークに刺したバナナパウンドケーキを口に入れ「うん!美味しい!」と顔を綻ばせ、そして奈央の瞳をじっと見て尋ねた。 「奈央君はケーキの作り方って知ってる?」 「知らない。」 首を振る奈央に渚は不動産物件をプレゼンするときのように熱を込めて語りだした。 「まず材料を買わないといけないよね。」 「それくらいは僕だってわかるよ。」 頬を膨らませる奈央に渚は人差し指をチッチッチッと揺らして見せた。 「ただ買うだけじゃないわよ?湊さんは奈央君の身体を考えてケーキの原材料を選んでいるの。太りすぎないように、虫歯にならないように、ヘルシーでけれど美味しく、しかも環境にも優しい食材を吟味しているのよ。」 「ふーん。そうなんだ・・・」 ケーキの原材料のことなど考えたことがなかったであろう奈央の、その瞳に好奇心が宿ってきたのが渚には手に取るようにわかった。
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