渚、婚活女子と励まし合う

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階段を降りマンションのロビーを出ると、渚と美和子は真夏の光を浴びながら駅前のカフェへ向かった。 「駅まで10分ほど歩くことになっちゃいますけど大丈夫ですか?」 渚の問いかけに美和子は「大丈夫です。これくらい歩いた方がダイエットにもなりますから。」と言って半袖のブラウスからみえる柔らかそうな腕の肉をつまんでみせた。 少しぽっちゃりだが胸と腰のボリュームがある女性らしいフォルムの美和子を、渚は同性から見てもグラマーで色っぽいな、と羨ましく思った。 駅前のカフェはガラス張りで店内は空いていた。 ふたりは窓際の席に座り、チーズケーキとアイスコーヒーをそれぞれ頼んだ。 契約日や敷金礼金などの説明を一通り終え、渚と美和子の話題は自然とお互いの婚活状況へと移っていった。 美和子はシェアハウスをしていた同僚の結婚を心底羨むようにため息をついた。 「あーあ。私も本当はワンルームマンションじゃなくて婚約者と2LDKのマンションを探したかったなあ。」 そう素直な本音を吐き出す美和子に、「こらこら。いまさっき素敵なワンルームマンションの契約を決めたばかりですよ?」と渚は軽口を叩いた。 「えーだってえ。」 「でもお気持ちはよおくわかります。私も婚活中ですけど、なかなかこれといった男性と出会えませんよね。」 最近の渚は仕事に家庭教師にと忙しくなり、登録したマッチングアプリにも目を通さない日々が続いていた。 家族に一年以内に結婚してみせる、と言ってしまったあのときの自分の頭を思い切り引っぱたいてやりたいと思う渚だった。
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