渚、後輩男子とお弁当を食べる

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「あーあ。私も真剣に考えなきゃな。老後の暮らし。」 渚のぼやきに和樹が一笑した。 「なに言ってるんですか。まだまだ先のことじゃないですか。」 「月日はあっという間に過ぎるのよ?私なんてすぐにおばあちゃんになって独り淋しく年老いていくのよ。」 「なんで独りって決めつけるんですか?結婚したくないんですか?」 渚は箸を止め、和樹の顔をまじまじと見た。 「そりゃしたいわよ?でもなかなかいい相手が見つからないの。ねえ宗像君、誰かいい人紹介してくれない?」 「ええー・・・それ、俺に言います?」 和樹は眉を八の字に下げ、弱々しい笑みを浮かべた。 和樹が広げた手作り弁当を見た渚は、からかうように言った。 「それ彼女さんの手作り弁当?宗像君、モテるもんね。」 すると和樹は少し怒ったような顔で渚の言葉を打ち消した。 「違いますよ!これは自分で作ったんです。」 「えっ。宗像君が作ったの?ミートボールにたこさんウインナー。可愛い!」 「簡単なものしか入ってませんけどね。」 「それだけ作れれば十分だよ。偉いじゃん。」 「ウチは母子家庭なんで。母は俺が小さい頃から働いていて忙しかったから、自然と料理を覚えたんです。ちなみに洗濯や掃除も俺得意です。」 そう言って和樹は箸に挟んだ白米をぱくりと口に入れた。 「そう・・・お母さんひとりで宗像君を育てたの・・・大変だったんだろうな。私、そういう女性、心の底から尊敬する。」 「・・・ありがとうございます。」 和樹は嬉しそうにつぶやき、頭を下げた。
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