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第一章 会社をクビになりました
「オ、オマエはクビだー!」
顔を真っ赤にし、唾を飛ばして御曹司が怒鳴る。
「こっちこそ、あなたみたいな無能が次期社長の会社なんて願い下げですよ!」
……と、売り言葉に買い言葉で会社をクビになったのが一時間ほど前。
早くも私は、後悔していた。
「……はぁーっ」
川辺のベンチに座り、憂鬱なため息をつく。
なんであんなこと、言っちゃったかなー。
すぐ口が出るのは私の悪い癖だ。
「……はぁーっ」
また、私の口からため息が漏れる。
御曹司に意見したのは後悔していない。
そうしないと後輩が泣くくらいならまだいいが、御曹司から身体に加害を受けるところだった。
それでももうちょっと穏便に話せば、クビは免れていたかもしれない。
「まあ、言っちゃったものは仕方ないんだけど」
私の口から乾いた笑いが落ちていく。
いまさら取り消しもできないし、反ってあんな会社を辞めて清々しているくらいだ。
私のいた会社では御曹司のパワハラ、セクハラが横行していた。
気に入らない人間には到底できない仕事を与え、どうしてできないのかと怒鳴り散らす。
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