第一章 会社をクビになりました

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女性社員、特に気に入っている子はオレの女扱い。 既婚者なのに、だ。 なにか意見しようものなら、親父に言って辞めさせてやると脅された。 もう三十も過ぎているのに父親頼りの御曹司もどうかと思うし、社長もひとり息子だからか彼に甘いのだ。 社員の給料は据え置きどころか減給でも、息子には数千万のスポーツカーを買ってやる。 そんな会社なので行く末は見えていた。 「これからどーしよー」 辞めたのに悔いはないが、これから先が困った。 そういう会社だったので給料は生活費でカツカツ、貯蓄などほとんどない。 円満に辞めていれば雀の涙ほどだろうが退職金も出ただろうが、クビなのでもちろんあるわけがない。 さらに喧嘩を売って飛び出てきたのでまともに退職手続きをしてもらえるかも怪しく、失業保険がもらえない可能性もある。 私の気持ちなど知らず、目の前では気持ちよさそうに水鳥が泳いでいる。 ああ、もういっそ、あの鳥になりたい。 などと思っていたら、お腹が派手になった。 お昼も食べていないし、そうなる。 「なんか食べるか……」
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