第一章 会社をクビになりました

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腰を浮かせかけて、またその場にへなへなと座り込んだ。 給料日前で財布の中にはほとんどお金が入っていなかった。 バーコード払いで支払っても、引き落とし日にお金がある可能性は低い。 そもそも明日の給料日に、お金が振り込まれるのかすら怪しい状況だ。 「……はぁーっ」 またため息をつき、川面を眺める。 日の光が当たってキラキラして綺麗だが、それよりもお腹が減った。 就職活動をするとして、当面のお金をどうするかが問題だ。 「なあ」 「ひゃっ!」 唐突に頭上から声が降ってきて、飛び上がりそうになった。 こわごわ見上げると、私よりも少し年上そうな眼鏡の男性が立っていた。 「川の水は冷たいだろうし、溺れるのは苦しいと思うぞ」 いいともなんとも言っていないのに、彼が隣に腰掛けてくる。 作業着姿なので近くの工場かなんかの従業員なんだろうか。 それにしてはイケメン……というのは失礼だけれど。 眼鏡の奥の目は細く涼やかで、右目下のほくろがさらに爽やかに見せる。 鼻筋は通っており、薄い唇はキスを誘うかのように形がいい。
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