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結局延岡は、薬のことは数日で忘れてしまった。
いつも通り大会に向けてトレーニングを重ねてきた。
そして、本番の日がやって来る。
レースがスタートした。
延岡は他の選手よりスタートが遅れてしまった。慌てて前の選手を追いかける。
いつもならここから多少差は詰めても、結局追いつけずに終わってしまう。
しかし、この日は違っていた。
延岡は走るにつれて足が軽くなり、スピードが上がっていくのを感じた。
「いける。この感覚だ。これこそが俺が求めていた走りだ!」
延岡は前を走る選手に徐々に迫っていき、ゴール直前でさらに加速して、前の選手を一気に抜き去った。
そのまま一位でゴールした。
タイムは9秒99。
ついに壁を破って9秒台のタイムを出した。
「やった。これだ。俺はこの最後のひと伸びを待っていたんだ!」
観客から9秒台を出して優勝した延岡に大きな拍手が送られる。
「俺はこれからもっとタイムを伸ばせるぞ。もっとすごい記録を出せるぞ」
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