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「――この度、二十一代目女王となったリーナ・フリートハイムは、国のためにこの命を尽くします」
建国時からお決まりの即位の挨拶を声高らかに叫んで、リーナは堂々と背筋を伸ばして、凛とした表情を作る。
「私は先代の国王陛下が願われた平和を、守りたい。……どうか、ついてきてほしい」
普段はこんな風には言わない。けど、今だけは。今だけは、凛とした立派な女王を演じなければならなかった。
……リーナの宣言が終わると、何処からかぱちぱちという音が聞こえてきた。
それらは一瞬にして広がり、大きな拍手となる。
(今日から、私は女王なのよ……)
三ヶ月前、両親と兄を一気に亡くし、リーナは悲しみに暮れた。自分だけが生き残ってしまったことを、悔いた。
そんなリーナを奮い立たせたのは、一通の手紙。それは、兄の一番の友人からの手紙だった。
(私は、彼に恥じない王になる)
せめて、それが。――両親や兄に対する、供養になるはずだから。
そう思い、リーナは堂々とし続ける。感動しきりの使用人たちに隠れるように、誰かがこちらを見て舌打ちをしたのには、気が付けるわけがなかった。
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