変わらぬ日常

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 『日本政府はAIやロボットを幅広く活用出来るために自動機械化法を導入。少子高齢化の打開をはかり失われた35年の経済を取り戻す考えです』  テレビの中で無表情で文書を読み上げるアナウンサーに高二の少年、五十山海(いそやまうみ)はスマホを弄りながら怠そうに朝ごはんを食べていた。  (何が自動機械化法だよ)  あまりにもアホらしくてふっと鼻で笑う。  口で自動化と言ったからすぐ自動化がなされるわけじゃないのなんて今日日幼稚園生でも分かるだろう。  国民を馬鹿にしてるにも程がある。    「クソ馬鹿みてぇな話だよなお袋」  「こら!。海!。ご飯を食べてる時にクソとか言わないの!」    母の五十山沙奈恵は若干青筋を立て海を怒鳴りつけた。  ………面倒クセェ親。と心で愚痴りながら海は朝食を取り終えた。  「じゃ。お袋行って来るわ」  「お父さんには挨拶したの?」  沙奈恵は仏壇の方に視線を向けた。    「……とっくにしたよ」  「そう。貴方の生意気さはお父さん譲りかもね」  懐かしそうな顔で沙奈恵は笑う。  「んだよそれ……。行ってきます」  「行ってらっしゃい」  鞄を持ち海は家を出た。  
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