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一見して、凡庸な警察官である!
しかしよく見て欲しい!この男の階級章の下!
そこに燦然と輝く宇宙デカのピンバッジを!
伊藤シルゲ32歳!趣味は特撮!夢は蒸結!
アイアンヒーローに熱い魂を注入された!国家の犬である!
「……うーんとね?」
さめざめと泣くように降る陰湿な雲の下!伊藤シルゲは混乱していた!
賽銭泥棒がやたら出るとの要請を受け!各神社を見回る道すがら!
猛烈な風!一迅!
吹き飛ばされた帽子を、やれやれと拾い上げた!
「逮捕してください!」
頭上から降り注ぐ剣呑な言葉に、顔を上げる!
「僕等!悪い人間です!」
ペンキ缶をぶら下げた老若男女!皆一様に!溢れる涙!隠そうともしない!
話を聞いてみると!岡本太郎の彫刻作品にペンキをぶち撒けようと画策していたとの事!
「やってないんだよね?」
「やってないです!」
「じゃあ……しないでね。それでいいから」
「あと牛さんとか全部死ねばいいって思ってました!」
「なんかしたの?」
「デモとかしました!だって地球が危ないから!」
「うーん…」
巡査部長に連絡してみたところ、泣いてる人達がいっぱい交番に押し寄せているとの事!
「絶対にそいつら連れて帰ってくるんじゃねぇぞ!」
「えぇ…」
この日!世界全土のポリスメンが困惑した!
未遂犯!あるいは既遂犯!諸人こぞりて両手を差し出す!
平和!このまま世界は善意で満たされてしまうのか!
「最近ここらに出るんだよなぁ…」
噂の怪盗へ「悪は許さん!」とポーズをとってみたい!そのために巡回をかってでたのだ!
「うーん…」
果たして!伊藤シルゲ!
「さよなら怪盗……よろしく公務執行妨害!」
巡査部長が待たない交番へ!推して戻る!
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