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その日を最後に、箱崎くんはその言葉の通り、いなくなった。 どこかに転校して行ったのか、退学したのか、誰ひとりその行き先も事情も聞いていた生徒はいなかった。 先生もなぜか言葉を濁した。 しつこく聞けばわかったのだろうけど、聞くことができなかった。 聞けるわけがない。 あの時、自分がもっと大人で、自分の気持ちを上手く言葉にすることができていたら、何か違っていたのかもしれない。 少なくとも、こんな思いを抱えて、大人になることはなかった。 二度と彼とは会うことができない。 高3の冬、「後悔」という2文字の、本当の意味を初めて知った。
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