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「仕事が忙しい」と言っていた彼。
「会社の人とご飯を食べてきた」と言っていた愛理。
ずっと、わたしの知らないところで、2人が会っていたことを知らなかった。
彼の誕生日に2人が寝た同じベッドで、わたしは彼の誕生日の次の日に、彼と……
濡れた髪の毛を拭きながら、バスルームから出て来た彼に聞いた。
「いつから?」
最初、意味がわからないといった顔をされたので、見つけたピアスを見せた。
表情が消えた彼は、何度も「ごめん」とわたしに言った。
そして、「別れて欲しい」と言った。
もし、わたしがピアスを見つけなかったら、彼はどうしていたんだろう?
わたしとねた後に別れを切り出した彼に、「わかった」とだけ言って、逃げるように彼の家を出た。
彼に触れられたところも、つけられた痕も、全部全部、今すぐにでも洗い流してしまいたいのに、そのために帰る家には、同じ痕を持つ愛理がいる。
バカみたい。
帰る家も失ってしまった。
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