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「ちょっっと渚くん押さないでよ! わぁ! ごめん昴くん!」
「いえ。自分なら平気です」
すごい勢いで自分の胸に飛び込んできた美緒を優しく受け止めると、何事もなかったかのように、ウェディングドレスについてしまった小さなごみを払い落とす。
そして、改めて正面を向き直すと、
「新婦泉石美緒さん、貴女はここにいる新郎の泉石渚さんを、健やかなときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、夫として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」
「はい。誓います」
美緒は、大きな声で誓いますと返事を返す。
その宣言に、昴はニコリと笑みを浮かべ、隣に立つ、新郎である渚の方を向き、神父としてではなく、一人の親友として、渚と美緒に祝福の言葉を送った
「渚。結婚おめでとう。そして、美緒さん。渚……いやぁ? 僕らが、5年前貴女におこなった罪は、一生かけても償えるものではありません。僕も渚と一緒に償っていくつもりです」
「…昴くん。顔を上げて下さい」
頭を下げる昴に、優しく声を掛ける。
「確かに、5年前、私は、元旦那だった岡宮永輝さんと別れました。けど、それは、私の意志で別れたのであって、渚くんや昴くんのせいではありません。それに……」
渚の方を見て、にっこり微笑む。
「私は、渚くんが大好きなので、これからは、彼の罪ごと、私が彼を護ります」
そう全員に聴こえるように宣言する。
そんな美緒の姿に、昴は、小さな声で、
『良かったなぁ? 渚?』
「では、美緒さん。そして、渚。誓いのキスをお願いします」
「渚くん。絶対に幸せになろうねぇ?」
「あぁ。絶対に幸せになろうなぁ」
渚と美緒は、全員の前で唇を重ねた。
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