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第5話 あいまいな返事
そうして、1学期が終わった。
2学期に入ってしばらくすると、また三波さんと木原さんが鈴本さんを無視したり、陰口を言っている場面に何度が出くわした。
(髪を染めたりしてる割に、無視や陰口を言うなんて子供っぽいな……)
正直、クラスメイトの大半が怖がっている二人を私は怖くは思っていなかった。
髪を染めていることが大人っぽいというよりも『そんなにかまって欲しいのかな?』と、逆に幼く感じられた。
一方、鈴本さんにも少しいら立ちを覚えた。
(もう少し大きな声で呼べばいいし、無視しないでって強く言えばいいのに……)
私は、見てられずに三人の間に割って入る。
「三波さん、木原さん、鈴本さんがノート集めに来たって言ってるよ。出して」
「えー、声小さくて聞こえなかった~」
「はいはい。私の声は大きいから聞こえたよね。出して」
「委員長、うざい~」
「それが仕事だからね」
二人のノートを集めて、鈴本さんに『はい』と渡す。
「……ありが…と…」
小声で聞き取りにくいが、お礼を言われた。
「気にしなくていいよ」
私は、お礼へなのか、無視されたことについてなのか、あいまいに返事をした。
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