オープンテラス

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 職場近くにできたオシャレなカフェには、ステキなオープンテラスがあった。  そこの席に座りたいと思っているのだが、予約制なのか他に理由があるのか、空いていても席に通してくれないし、こちらが希望してもやんわりと断られる。  今日も、店内の席に通され、残念な気持ちでテラス席を見つめていたら、そこに一人の女性客が通され、座った。  年は私と同じくらいだろうか。ふっくら…ぽっちゃり…正直に言うと、かなりビッグサイズの女性。  前は、オープンテラスは予約制なのかと思っていたけれど、この店には予約の制度はないらしい。だったらどうして私はダメだ、あの人はOKなんだろう。  不思議さと羨ましさを込めた視線をチラチラと送っていたのだが、ある瞬間、ふと、外が真っ暗になった。  今の今まで上天気だったのに、天気が急変したのだろうか。だとしても、昼間に、外が見えないくらい真っ暗になることなんてあるのだろうか。  目を凝らし、窓の外を見つめる。すると、僅か数分で屋外は元の明るさを取り戻した。  けれどその時、あの席に座っていた女性の姿はなかった。  突然暗くなったから、驚いて場所を移動したのだろうか。でも外か暗くなっていた時、店内に誰か入ってくることはなかったし…。  不思議に思い、もう一度、空席になったオープンテラスを凝視する。すると、女性が座っていた席の足元が、何やら赤黒く汚れているのが見えた。  しつこく見つめていたから断言できるけれど、さっきまであんな汚れはなかった。  …そういえばあの暗がりの中、一瞬だけ見えたあれ。  天から巨大なフォークのような物が下りてくる映像。  そんなことがある訳がないから、絶対に見間違いだと思っていたけど、あの赤黒い染みといなくなった女性のことを合わせて考えると、もしかしたせらという気持ちが湧く。  もしかしたら、あの席に通されるのは、さっきの女性のように恰幅のいい人で、その理由は…。  私、もう二度と、ここのオープンテラスに座りたいとは思わないし、何なら、この店に来るのは今日で最後にしようと思っている。 オープンテラス…完  
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